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本研究室で,博士課程・修士課程および学部4年生が取り組んでいる主な研究テーマの紹介です.

ウッドプラスチック複合材料の疲労破壊挙動
 D3 Azmi Nordin, B4 坂本健太
Because of the rise of environmental-friendly awareness, the use of natural fibers and wood flour has become a trend. There are relatively many reports about bending and impact properties of this material as well as tensile properties, while the fatigue properties have not sufficiently been clarified yet. In this study, thus, 30-60wt.% wood flour were used as a reinforcement in wood-polypropylene composite (WPCs) materials. The objective of this study is to investigate the fatigue behavior of WPCs specimens. Different amount of wood particles was added to this composite to find the optimal composition of wood fillers in WPCs materials. However, further analysis on fracture surface need to be carried out in order to understand clearly the fracture behavior of WPCs materials.

亜麻スライバー繊維強化グリーンコンポジットの強度特性に及ぼすニードルパンチ処理効果
          D3Taweesak Piyatuchsananon, M2 伊達雄人, B4 野村剛志
 環境問題が問われる現在,GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)等の代替材として, 環境負荷の少ない天然繊維を強化材としたグリーンコンポジットが注目を浴びている.しかし,天然繊維は特有の繊維うねりを有しており, そのまま強化材として使うと力学的性質の低下を招く.そこで,不織布の作製方法に準じて,亜麻繊維スライバー繊維間を結合させた強化材を用い, グリーンコンポジットを作製するとともに強度特性の改善を図った.ニードルパンチ処理を行うとある程度のパンチ数を行うことで処理効果を得ることが出来た. しかし最適化まではいたっていない.

ラミー麻撚糸における単糸の配向角が引張強度に及ぼす影響
 M2山崎恵理, B4弘中佑紀
 天然繊維はしばしば撚糸として使用され, 撚糸は連続形態をとっているためFRPの強化材に適している.撚糸にはマイグレーションと呼ばれる単糸が撚糸の表面から内部へと移動する現象が存在し, 本研究ではこのマイグレーション構造の同定を行い,引張強度との関係を調査した.ラミー麻単糸を用いて3種類の19本撚糸を作製し, マイグレーション発生数の測定および引張試験を行った.また,マルコフ連鎖を用いて状態確率および単糸が同じゾーンに存在し続ける確率を求めたところ, 実験値とほとんど同じ値を得ることができた.また,これらの結果,内側と外側でマイグレーションの発生数に差が生じるほど,引張強度は低くなることが分かった. また,この差は,マイグレーションの発生数が多くなるほど大きくなる傾向がみられた.

ラミー麻/PPグリーンコンポジットの多軸応力下における繰返し引張負荷処理による強化効果
 M2長澤昌也, B4桐生敬大
 昨年度はRamie/PP複合材料に対して,等2軸繰返し引張負荷処理, 単軸/単軸繰返し引張負荷処理を施した際に生じる応力から試験後に残ると思われる理論的な残留ひずみを算出した.理論値と実験値を比較すると似たような傾向がみられたが, 値に大きな差異がみられたため今後検証しなおす必要がある. また昨年度は1軸押出し機による材料の作製を行っていたが,材料内の繊維のだまが多く残ったり, 材料自体が焦げるという問題から以前の材料をうまく再現できなかった.今年度は繰返し引張負荷処理を施した際のひずみから応力を算出する式を考え直し, より実験値と近いものになるようにする. 1軸押出し機を用いた材料の作製方法を確立させ,単軸/単軸繰返し引張負荷処理のサンプル数を増加させて,処理による材料の特性改善効果の正当性を調査する.  イメージ

繊維分類法による湾曲短繊維強化グリーンコンポジットの強度発現機構
M2 花表孝亮, B4平松昇太郎
 現在,地球規模での環境問題が問われている.環境に与える影響が大きいCFRPやGFRPの代替材として,環境に負荷を与えない天然繊維を用いた複合材料への注目が集まっています.  そこで,本研究では,高強度天然繊維であるラミーの織布の間にラミー繊維にフィブリル化を施したにフィブリル化ラミーを生分解性であるPVAで挟み込むことにより,フィブリルラミー/PVAサンドイッチ構造体とするグリーンコンポジットを作製し,その機械的特性について明らかにすることを目的としています.

十字型CFRP直交積層板の2軸応力
 M2Nur Furqan, M1権藤純平
 十字型CFRP直交積層板が2軸引張試験機の荷重制約の中で破壊しうる 形状を数値解析を用いて調査し,実験を行い試験片形状の最適化を行った.従来の試験片は直交部を直角に製作するのに難があり,早期破壊の原因となっていることが明らかとなったため, 最終的な試験片では直交部の製作性と試験片が2軸応力下で破壊する前提双方を考慮して直交部に曲率を設けた.曲率を設けた試験片形状は再現性を検証する必要があるが破壊率と破壊した 荷重領域が広範囲であったことから破壊機構を調査する試験片として適していると考えた.また,破壊様相から表層の破壊機構は繊維垂直方向の荷重が上昇するにつれて繊維破断からほうき 状破断へと移行する(右図)という推定を行い,引き続き調査が必要であると考えた.

フィブリル化天然繊維の複合材料に与える特性評価
M2古賀恭平, M1佐藤優斗
 環境への負荷が小さい材料として, バイオマス由来の熱可塑性樹脂を天然繊維で繊維強化したバイオコンポジットが注目されている.このバイオコンポジットの強度向上のため, 繊維表面を毛羽立たせたフィブリル化繊維を複合材料の強化材として試験片を作製,機械的特性の調査を行った. その結果,フィブリル化処理繊維を使用した試験片では未処理繊維を使用した試験片よりわずかに引張強度が高い傾向が確認された. また,複合化した試験片は樹脂単体よりも引張強度が約40%ほど向上した.この結果より繊維を樹脂に混入させたことで,樹脂自体の結晶化を促進したことが考えられる. 課題としてはフィブリル化処理を施した繊維には凝集が発生しており,試験片の強度に悪影響を与えていることが挙げられる.

炭化竹繊維及び発泡剤を用いた低密度宇宙往還機用アブレータの創製とその機械的特性
M1 坂本瞳, B4高岡祐弥
 【昨年度の研究概要】昨年度は、 最終目標である竹繊維を用いた低密度で衝撃波を遠ざける機能又は耐リセッション機能をもつアブレータ作製の前段階として、 本研究ならではの炭化竹繊維アブレータの製作方法を確立した。JAXAアブレータ製作方法を基盤としたが、発泡剤を用いることで更に低密度化を図った。 製作したアブレータはSEMで気泡観察、比重測定、4点曲げ試験を実施したがどの項目も目標を達成した。

【問題点】気孔率未確認であること、アブレーション試験を行えていないことである。


制約条件付き有限要素モデルの三次元への拡張化
M1 山口雄大
 セラミックスは耐熱性,耐摩耗性,耐食性などに優れるが, 靭性の低さが問題視されている.一方,SiC/SiCを始めとするセラミックス基繊維強化複合材料(CMC;Ceramic Matrix Composites)は, セラミックス繊維などを複合化させることで繊維架橋,繊維破断,繊維引抜け,界面はく離,き裂偏向などを発生させ,高靱化を実現した損傷許容型セラミックスである. 本研究では,単繊維複合材料型解析モデルの繊維/マトリックス界面に多重節点を導入し,変位および接触力のつり合い式からなる界面接触条件を定義した. また,これを用いて剛性方程式を変形することにより,1回の計算で変位解を求めることを可能とした. 昨年度までは,界面と応力の方向に角度αをもつoff-axissの場合の制約条件付き有限要素モデルの妥当性を汎用有限要素解析ソフトANSYSの解析結果との比較し, 妥当性の検証を行った.しかしこれまでの制約条件付き有限要素モデルは軸対称モデルでないと解析ができなかった. セラミックス繊維の一部には表面に亀裂が入っていたりコブ状の突起が発生している場合がある. また,繊維の軸方向と応力の方向に角度がある場合もこれまでの軸対称モデルでは解析ができなかった.

樹脂中における天然繊維撚糸の破断挙動観察
M1 清水貴大, B4 吉村隆
 ラミー麻単糸から取り出した単繊維を3本を用いて作られた撚糸を 有する単撚糸複合材料(3YNFC)を作製し,その場観察引張試験を行った結果,多重繊維破断挙動が見られた.各TPI(Twist Per Inch=1インチ当たりの撚り数)ごとに 応力回復長さを求めた結果,大きな変化は見られなかった.また10本撚糸の場合応力回復長さは約2倍に増加した.また有限要素法ソフトANSYSを用いて樹脂中の3本撚糸の応力場を調査した結果, TPIが増加すると繊維軸応力が僅かながら減少した.破断繊維を1本有する場合,健全繊維の応力場が異なっていることが分かった.しかし,現段階では試験片のサンプル数が少なく, 実験結果にばらつきが見られるので試験を繰り返し行う必要性がある.

撚糸強化GC直交積層板の破壊挙動に及ぼす撚り数と積層構成の影響
 M1中島航希, B4古宮山健太郎
 昨年度はTPI=1.5,9.5の2種類の撚糸をそれぞれ[0°/90°]sとした 積層板の引張試験を行いその撚り数が破壊挙動にどのように影響するか調査を行った.その結果従来のCFRPやGFRPの直交積層板と比較して撚糸強化GC直交積層板は90°層の き裂に対する感受性が低い材料であるということが分かった.しかし,0°層,90°層それぞれに違う種類の撚糸を用いた積層板の破壊挙動を調査するまでには至らなかった.

GC特性向上のための異種シリンダを用いたペレットの創製
 M1 本田 宗靖
 昨年度は, 天然繊維複合材料の特性が詳しく解明されていない現状から, ペレットの特性がGCに影響を与えると仮定し, ペレットを作製するための単軸押出機の開発を目的とした. 既存の単軸押出機の構造とそれぞれの役割等を調べ, 新たに単軸押出機の設計を行った. そして配線関連以外の全てを完成させたが 問題点として, 配線が昨年中に終わらなかったこと, また安全設計に不備が多々あり実際に使用するには注意が必要となる. そして昨年設計した押出機は廉価であることのみに焦点をあわせていたので, ペレットの特性向上のための仕様がなされていない. これらは今年度シリンダを再設計し, ペレット特性向上を目指さなければならない.

   

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